Research Abstract |
著者は,これまでに,インドロキノリン誘導体の中に,強い抗腫瘍作用を持つ化合物があることを見い出してきた。これらの研究により,種々の化合物を合成し,所有していたことから,インドロキノリン誘導体の中に抗マラリア作用を持つ化合物があるのではないかと考えた。一方,抗マラリア作用を持つ化合物には,強い抗マラリア作用を持つことは勿論のこと,細胞毒性の指標となる抗腫瘍作用を軽減しなければならないことが要求される。この矛盾を解決すべく,本研究の目的は,著者がこれまで続けてきたインドロキノリン誘導体と抗腫瘍作用との構造活性相関研究の中で,in vivoで抗腫瘍作用が微弱と判断できた化合物を選択し,それらの関連化合物のデザイン,合成,抗マラリア作用の試験を行うこととした。この目的から,インドロキノリン環の1,2,9,10位のそれぞれにメチル基を有するものを候補化合物として選んだ。さらに,従来の抗マラリア薬の構造に習い,側鎖にアミノ基を有するものとして,脂肪族あるいは芳香族アミノ基を選択した。 これらデザインした化合物の合成および抗マラリア作用の試験は完了した。これらの化合物の中には,現在,臨床で用いられている抗マラリア薬に近い活性を持つ化合物があることが判明した。しかし,細胞毒性試験では,その活性はin vitroで行われるため,in vivoの結果とはことなり,これらの化合物には細胞毒性が認められた。したがって,現在のところ,細胞毒性を軽減した化合物を見い出すまでには至っていない。
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