Project/Area Number |
09271217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 行彦 大阪大学, 医学部, 助手 (40240840)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / T細胞レセプター / 原因抗原 / 免疫不全マウス |
Research Abstract |
1.T細胞依存性RAにおけるTCR/Vβの解析 我々は、免疫不全マウスであるSCIDマウスの関節局所へRA患者の滑膜組織、関節液より採取した単核球(MNC)を移入すると一部のRA患者由来のMNCが滑膜増殖を誘導すること、そして、抗T細胞抗体により滑膜増殖が抑止されることから、滑膜増殖にT細胞が関与していることを明らかにした。したがって、このSCIDマウスへの細胞移入実験系を用いれば、RA患者の病変局所に存在するT細胞の滑膜増殖能、つまりpathogenicityを検討することが可能と考えられる。41名のRA患者をスクリーニングした結果、11名のRA患者において滑膜増殖が誘導された。このうち9名の患者において、TCR/Vβレパトアの解析をRT-PCR法を用いておこない、これらの患者の病変局所のT細胞に同じ患者の末梢血にはみられない顕著な偏りが特定のVβ(Vβ8,12,13,14)において認められた。一方、このような偏りは、細胞移入実験系において滑膜増殖を誘導しなかった患者(T細胞非依存性RA)には認められなかった。また、偏りのみられたVβ遺伝子は、SSCP解析によりオリゴクローナルであることが示唆された。さらに、偏りのみられた患者の末梢血T細胞をスーパーアンチゲンを用いて病変局所で増加しているT細胞と同じVβをもつT細胞を選択的に増加させ、SCIDマウスへ移入すると滑膜増殖が誘導された。以上のことから、この9名のRA患者の病変局所では、特定のVβをもつT細胞がオリゴクローナルに増加し、滑膜増殖を誘導することが示唆された。滑膜増殖は、RAの基本的病理像と考えられるので、これらのT細胞の中にpathogenic T細胞が存在するものと考えられた。 2.pathogenic T細胞におけるTCR β鎖のCDR3領域のシークエンス解析 前述のVβに偏りのみられたRA患者のうち、Vβ14に偏りのみられた2名のRA患者(HLADR4陽性)において、病変局所に存在するpathogenic T細胞が、特定の抗原により誘導されているかどうか検討するために、これらのVβ14陽性T細胞のβ鎖上のCDR3領域のシークエンス解析を行った。その結果、Patient1においては、15クローンを回収し、シークエンスした結果、関節局所では15クローンすべてが同一のシークエンス(CASS-PRERAT-YEQ)であった。一方、Patient 1の末梢血では、同一のシークエンスは認められず、均一ではなかった。また、同じくVβ14に偏りのみられた他の患者(Patient7)においてもPatient 1と同一のシークエンスが優位に認められた。一方、T細胞非依存性の3名のRA患者(HLA-DR4陽性)および3名の非RA患者においては、同一のシークエンスは、認められず、均一ではなかった。以上のことから、Vβ14陽性のpathogenic T細胞を病変局所に有すると思われる2名のRA患者の病変部のT細胞には、TCR/Vβ上のCDR3領域に共通な優位なシークエンスが認められた。この配列は、非RA患者には認められなかったことから、RAに特異的なものと考えられた。
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