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¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
光化学系II反応中心を構成するD1タンパク質をコードするpsbA遺伝子の情報発現は,高等植物や藻類の場合,翻訳の段階で光により制御されており,また,翻訳直後の前駆体タンパク質は,核支配のプロセシングプロテアーゼによるカルボキシル-末端(C-末端)切断で,その機能が発現する。本研究では,核ゲノムと葉緑体ゲノムの相互作用による細胞機能の統御の一例として,psbA遺伝子の場合を取り上げ,その分子機構を解析した。 これまでの研究で,エンドウ葉緑体におけるD1の合成が翻訳伸長の特定段階で光により制御されており,その制御は光化学系Iで還元されることにより活性化されるタンパク性の酸化還元因子を介して行われていることが明らかにされたので,本研究では,この因子を純化することによりその同定を試みた。 エンドウ葉緑体抽出物を出発材料に構築するin vitro翻訳系において,ジチオスレイトールで還元処理したS100画分を用いて翻訳を進行させると,通常光照射を必要とするD1の伸長が暗所においても進み,フェリシアナイド又は酸化型グルタチオン処理したS100画分を用いた場合には,全長のD1の蓄積は認められず,代わりに暗所・ATP添加条件下で認められる翻訳中間体が蓄積した。この結果は,翻訳伸長に関与する因子がストロマ中の酸化還元成分であり,還元されることにより活性化されることを示している。ゲル濾過クロマトグラフィーにより,ストロマ成分の分画を行ったところ,主成分は約40kDaに現れるが,これ以外にいくつかの成分が関係している可能性が示唆された。
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