FtsHと細胞質シャペロンによる遺伝子発現制御と膜の動態制御
Project/Area Number |
09276227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小椋 光 熊本大学, 医学部, 助教授 (00158825)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | FtsH / プロテアーゼ / AAAファミリー蛋白質 / 熱ショック応答 / 分子シャペロン / 膜 / リン脂質 / リポ多糖 |
Research Abstract |
ftsH欠失変異株の分離により、σ^<32>の量の調節と活性の調節をそれぞれ区別して解析することが可能になった。予想したように、ftsH欠失変異株では、σ^<32>は安定化し(半減期120分)、野生株の約20倍の蓄積が見られた。それにもかかわらず、熱ショックタンパク質(HSP)の合成は、野生株の2〜3倍程度増加するだけで、温度シフトにより、、ほぼ正常な一過的なHSPの合成誘導が観察された。このことは、少なくともftsH欠失変異株においては、σ^<32>の不活性かが起こり、σ^<32>の活性調節によりHSPの合成が制御されることを示している。dnaK欠失変異株でも同様にσ^<32>の安定化・蓄積が観察されるが、σ^<32>は高い活性を示した。DnaK/Jの発現量を調節できる系を用いて、σ^<32>の不活性化にDnaKシャペロン系が必要であり、また、FtsHによるσ^<32>の分解にもDnaKシャペロン系が必要であるという結果を得た。FtsHは細胞増殖に必須の膜プロテアーゼであるが、その必須機能については不明であった。最近、ΔftsH変異の致死作用を抑制する変異sfhCが、リン脂質の合成経路で働くfabZ遺伝子に起こった変異であることをつきとめた。リン脂質はリポ多糖とともに主要な膜構成成分であり、これらは共通の前駆物質から生合成される。ftsH変異株ではリポ多糖の合成経路で働くLpxC(EnvA)酵素の量が増加し、リポ多糖を過剰生産することが分かった。実際に、LpxCがFtsHプロテアーゼの基質であることを明らかにした。さらに、FtsHによるLpxCの分解は、リン脂質の合成中間産物により負の制御を受けることも証明した。FtsHは膜蛋白質複合体のクオリティーコントロールにも関わることが示されており、これらを考え合わせると、FtsHは膜蛋白質、膜構成成分の両面から膜の動態を総合的に制御することが明かとなってきた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)