微小管滑り運動に伴うダイニンの構造変化の同定および可視化
Project/Area Number |
09279211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲葉 一男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80221779)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 精子鞭毛運動 / 微小管 / ペプチド抗体 / ダイニン / ATP加水分解 / 組換えファージ抗体 / モータータンパク質 / 構造変化 |
Research Abstract |
微小管系モータータンパク質であるダイニンは分子量が約50万と巨大な分子である。近年遺伝子クローニングによりその分子の一次構造が明らかになったが、ATP分解によりどのような構造変化が起こり微小管の滑り運動に結び付くかは依然不明である。本研究ではトリプシンによって切断される部位がATP/Vi存在下、非存在下で異なることを利用して、ATP分解に伴うダイニンの構造変化部位を同定した。その結果、全体として見ればダイニンβ重鎖の4個のP-ループ(ATP結合部位)の近傍が構造変化を受けるが、その範囲は極めて広くβ重鎖の約半分の領域(2077アミノ酸)に及ぶことが明らかになった。またP1-loopの近くに存在する構造変化部位(TAV1 site)からC末端側の領域でクラミドモナス軸糸ダイニンや細胞質ダイニンと90%以上のidentityを有する高度に保存された領域が存在することも明らかになった。さらに、他のTAV領域については領域によってダイニン一般に高く保存されている領域、軸糸ダイニンのみで保存されている領域、保存性は特に高くない領域等が存在することがわかり、個々のダイニン固有の機能を反映しているものと思われる。実際の微小管滑り運動時にみられるダイニンのATP加水分解に伴う構造変化を可視化することを目的として、各TAV部位近傍の約20アミノ酸配列に対するペプチド抗体を作製したが、これらはすべてダイニンヘの結合性、ATPase阻害能、鞭毛運動阻害能を欠いていた。lgGよりもさらに低分子化されており、また遺伝子操作によりさまざまな分子改変が可能な組換えファージ抗体の作製を現在試みている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)