ミトコンドリア蛋白Baxによる神経細胞死の誘導機構とミトコンドリアとの相互作用
Project/Area Number |
09280234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
麻生 定光 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (70167914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Project Period (FY) |
1997 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | アポトーシス / Bax / bcl-2 ファミリー / ミトコンドリア / 神経細胞死 / 海馬スライス |
Research Abstract |
ミトコンドリア蛋白Baxはbcl-2ファミリーに属する分子量21kDaのアポトーシス誘導因子である。虚血、キノリン酸、カイニン酸、MPTPによってBaxの発現が上昇することから各種の神経疾患による神経細胞死にBaxが関与している可能性が指摘されている。Baxの細胞死誘導機構について検討した。Baxを大腸菌細胞に発現させると1000分子という微量の発現によって死に至ることを見いだした。Baxの発現で大腸菌細胞では酸素消費及び活性酸素の上昇とそれに伴うDNAの損傷、突然変異率の増加が認められた。また不飽和脂肪酸の組成比が6倍に増え細胞は巨大化していた。大腸菌細胞に致死作用を及ぼす領域を同定した。それはBH1ドメインとBH2ドメインとの間に挟まれた領域でマウス細胞にもアポトーシスを誘導した。生物工学研究所の森川博士との共同研究でBaxと相同性の高いBcl-x_Lの結晶解析を行いBaxの三次構造を推定した。BaxはBcl-xLより膜に組み込まれてイオンチャンネルを形成しやすいこと、BH1ドメインとBH2ドメインとの間の領域は膜にポアを作る領域であることが明らかになった。正常BaxをPC12細胞にtransientに発現させると50%以上の細胞が細胞死をおこし、またアポトーシス抑制因子Bcl-2,Bcl-x_Lとダイマー形成に必要なBH3ドメインを欠く変異Baxを構成的に発現させたFDC-P1細胞にBcl-2,Bcl-x_Lを過剰発現させても変異Baxによるアポトーシス誘導作用を抑制できなかった。Bcl-2,Bcl-x_Lのアポトーシス抑制機構のひとつにBaxとダイマーを形成することでBaxの機能を中和することが考えられる。5週齢ラットの海馬スライスにbax,bcl-2,bcl-xの遺伝子をそれぞれ導入した。bcl-2,bcl-xを導入したものではbaxにくらべ細胞死及びDNAの断片化が軽減されていた。神経細胞でもほ乳類培養細胞と同じようにbcl-2ファミリーが細胞死制御に関与している。以上のことからBaxは単独でアポトーシスを誘導し、その誘導活性をもつ領域が大腸菌、ほ乳類細胞で共通であることからその誘導機構も同じであると予想され、神経細胞でBaxはミトコンドリアからの活性酸素を増加させ細胞死を誘導することが考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)