培養神経細胞を用いたシナプス再形成・機能修復実験系の開発と分子機構解明
Project/Area Number |
09280235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
黒田 洋一郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 参事研究員 (30073084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 正博 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (40224828)
小林 和夫 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (80100139)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | プロテインキナーゼ阻害剤・K-252b / ラット大脳皮質培養細胞 / シナプス形成 / MAP1B / シナプス再形成 |
Research Abstract |
本年度は、リハビリテーションによる機能修復の背景にある、活動依存性と考えられるシナプス再形成に必須の分子カスケードを、活動依存的に放出されるATPを利用した機能分子のエクトプロテインキナーゼによるリン酸化に焦点を絞って研究した。細胞膜を透過しないプロテインキナーゼ阻害剤・K-252bを、ラット大脳皮質培養細胞の培養上清に添加したところ、ニューロンからの突起伸展には影響なしに、形成されるシナプス数が著しく減少した。同時にK-252bの存在下では、細胞外で生じていると考えられる蛋白質リン酸化反応も阻害され、基質となる膜蛋白質の細胞外ドメインのエクトプロテインキナーゼによるリン酸化が、ニューロン間のシナプス形成において重要な役割を果たしていると考えられた。このリン酸化反応の基質蛋白質の一つとして、シナプトフォスカン(MAP1B)を同定し、さらにこの分子が大きな細胞外ドメインをもつ膜蛋白質である証拠も得られた。マウスペクトロメトリーを用いてリン酸化部位を解析したところ、アミノ酸配列上に30以上のリン酸化部位が同定され、その多くはプロリン指向性プロテインキナーゼによるものだった。また、発生段階を追って各リン酸化部位を調べたところ、シナプス形成終了前後にあたる生後1週から2週目頃に、特異的に脱リン酸化される部位が、ヘプタデカリピートという特徴的なドメインにおいて2ヶ所のみ見出された。シナプス結合の形成そのものに膜蛋白質のリン酸化・脱リン酸化が関わっていることが示唆された。一方、ニューロン内での局在や細胞膜とのトポロジーを特異的な抗体を用いて光学顕微鏡レベルで調べたところ、シナプトフォスカン(MAP1B)が樹状突起の細胞膜に沿って分布している像が得られた。さらに電子顕微鏡で観察すると、この蛋白は細胞体や樹状突起以外にも、大脳皮質中の約半数のシナプスでのみ、後シナプス肥厚部に局在していた。シナプトフォスカン(MAP1B)の細胞外ドメインのリン酸化が皮質ニューロン間のシナプス再形成にも関与している可能性がより詳細に明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)