血管内皮細胞に発現している新規スカベンジャー受容体の発現及び情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
09281237
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安達 栄樹 理化学研究所, 生物有機化学研究室, 研究員 (60291051)
|
Project Period (FY) |
1997
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | スカベンジャー受容体 / 酸化LDL / 血管内皮細胞 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
変性リポ蛋白質であるDil標識アセチルLDL(Dil-Ac-LDL)が血管内皮細胞に取り込まれる性質は広く知られているが、その受容体の実体は未解明であった。受容体の構造と機能を明らかにし、内皮細胞における生理的役割の解明を行った。培養ヒト臍帯血管内皮細胞よりRNAを調製し、発現ベクターpcDNA3を用いてcDNAライブラリーを作成した。1000クローンをプールとし、培養後、プラスミドDNAを調製し、CHO細胞で一過性に発現させ、Dil標識アセチルLDL(Dil-Ac-LDL)の取り込みを蛍光顕微鏡下で観察することにより、Dil-Ac-LDLの取り込み陽性プールを同定した。プールに含まれるクローン数を減らすことによりクローン化を行い、新規スカベンジャー受容体cDNAを単離した。その塩基配列の解析により、本受容体は830アミノ酸より構成される前駆体として合成され、15アミノ酸より構成されるシグナルペプチド、また一次構造上の422番目から439番目に存在する疎水性領域により細胞膜に膜一回貫通型の蛋白質として発現していることが示唆された。細胞外ドメインには3箇所のN-結合型糖鎖結合部位が存在すること、細胞内ドメインは391アミノ酸から構成されチロシンキナーゼやセリン、スレオニンキナーゼによるリン酸化部位を含んでおり、リン酸化によるシグナル伝達への関与が示唆された。またリガンドと相互利用すると考えられる細胞外ドメインは5個のEGF様ドメインを含む10個の繰り返し配列より構成されることを明らかにした。ノーザンブロット法により培養細胞での発現を検討したところ、ヒト臍帯血管内皮細胞及び冠状動脈内皮細胞ではmRNAが検出されたのに対し冠状動脈平滑筋細胞では検出されなかった。さらに本受容体を発現したCHO細胞株を単離し、その性質を検討した。本受容体はアセチルLDLのみならず酸化LDL、マロンジアルデヒド処理したLDL、ポリイノシン酸やデキストラン硫酸などのタイプAスカベンジャー受容体のリガンドとして報告されている物質を認識した。また^<125>l標識したアセチルLDLに対する挙動を検討したところ細胞表面での結合とライソゾーム阻害剤であるクロロキン感受性の分解活性を示すことを明らかにした。現在、本受容体の組織分布、シグナル伝達への寄与、細胞内ドメインの役割について検討している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)