Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚之 通産省, 工業技術院・地質調査所, 研究員
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
斎藤 文良 (齋藤 文良 / 齊藤 文良) 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (10007198)
長瀬 敏郎 東北大学, 総合学術博物館, 助教授 (10237521)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
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Research Abstract |
野島地震断層などから採取した断層岩を解析し,自然界で作動している地震性摩擦すべりの物理過程を解読した。 1.震源核生成の後に,thermal pressurization,ガウジのfluidization,およびガウジの熔融という過程が相次いで立ち上がる.これらは摩擦抵抗を低下させる正のフィードバックであり,観察された異常に薄いシュードタキライト層を説明する. 2.野島断層岩は3-5kmの深度で形成されたもので,シュードタキライトの基質は珪酸塩ガラスであり,ムライトがふくまれていることから,摩擦発熱による熔融・急冷の産物である. 3.ガラス基質と含水花崗岩の平衡最少熔融体との元素組成の関係,高温安定鉱物の存在,古いシュードタキライト破片の流動化,カリ長石と斜長石粒子の周縁部流動変形などの諸現象は,低熔融度のシュードタキライトは720℃以上,高溶融度のものは1200℃にまで達したことを示唆する。 4.熔融体の粘性率を決定する珪酸と水の含有量,未熔融団体粒子の体積分率,温度などを求めて解析した結果,高速すべりは粘性率が著しく高い熔融初期に抑制されることが分つた。 5.一回の地震イベントの中で,熔融体はしばしば未熔融粉体と共存し,熔融体の滴が粉体中に飛び散つている。このことは粉体がfluidizeしていたことを示す。Fluidizationを判定する「破片対の発見確率」による方法を新たに開発した。またfluidizationによつて摩擦抵抗が劇的に減少することを明らかにした. 6.上記の3つの物理過程を考慮し,定性的な地震性摩擦すべり構成則を提示した。とくにfluidizationは劇的な摩擦抵抗の低下を,その直後に起こる熔融の初期は摩擦抵抗の劇的な増加をもたらし,slip pulseを発生させる.
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