Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
今年度は,文法カテゴリーの対照研究として,昨年に引き続き空間,時間を特にとりあげた。空間と時間は認知基盤として最も重要なカテゴリーをなすからである。まず,日本語とフランス語の空間表現に関して,特に「ところ,場所,場(バ)」に相当する語彙データを収集し,基礎資料を作成した。資料作成の段階で,ドイツ語の語構成との比較が必要となり, 「ラオム,オルト,シュテレ」などのドイツ語関係の語彙も調査の対象とした。空間語彙が単に空間を記述するだけではなく,調査をしたいずれの言語においても文法化現象をおこしていることが明確になった。ただし,文法化のプロセスに一般性があるかどうかは不明な部分が多く,さらに研究を続行する必要がある。 時間カテゴリーに関しては,未来形の表現,序列副詞(まず,はじめに,など)の記述的・理論的研究を行った。特に未来の時間概念の把握形式について,日本語古語の助動詞「む」の用法とフランス語の米来形式(-ra形)の細かな分析の結果,日本語とフランス語ではかなり相違することが明らかになった。序列副詞に関しては,日本語の「まず」の用法とフランス語の「d′abord」の用法の比較を通じて,日本語が極めて主観的な側面を形式化しているのに対し,フランス語ではむしろ文脈の多様性によって主観性を表現していることが明らかになった。なお対照研究の方法論については,琉球大学法文学部(平成10年4月)において発表(講演)し,序列副詞は,メッス大学(フランス)における国際言語学コロキアム(平成11年3月)で発表し,評価を得た。 今年度の研究は,個々の現象に関する問題を深化させたが,そこから一般化をめざす理論的研究は次年度の課題である。
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