Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
モルモット胃幽門前庭部の輪走筋は比較的規則正しい頻度(3-5/分)で現れ,立ち上がる速度の遅い(0.1V/秒程度),slow waveと呼ばれている脱分極電位(30-35mV)を発生する。この頻度は膜電位依存性が弱く,温度依存性が強いので,細胞内代謝系によって制御されている可能性が考えられる。本年度は通常の平滑筋細胞とは別の,自発性活動を引き起こしていると推測される細胞からの電位(driving potential:振幅40-45mV,立ち上がり速度IV/秒程度)の性質と,通常のslow waveのイオン機序について分析を行った。Driving potentialを発生している細胞の静止電位はslow waveを発生している平滑筋細胞のものとほぼ同じで64mV程度である。Driving potentialはslow waveと同じ頻度で発生し,slow waveの下部を電気緊張的に構成していると考えられる。Kの透過性を増すcromakalimで膜を過分極させたり,caffeineを与えるとslow wave,特にその上部は強く抑制されるがdriving potentialの振幅は僅かにしか抑制されないので,両者のイオン機構には違いがあると考えられる。Slow waveはNa濃度を減少させると一過性に持続が延長し,持続性の脱分極が起こり,頻度が増加する。ClあるいはKを同時に除くと,持続的な脱分極は起こらず,持続の短い30mV程度の電位が高頻度で発生する。Naを再投与すると一過性の抑制の後にslow waveの回復がみられる。この抑制にはClおよびKの存在が必要である。また,このNa再投与による回復はNa-K-Cl輸送系の抑制剤であるbumetanideあるいはfurosemideで抑制される。このような結果から,slow waveの発生には細胞内のNa,K,Cl濃度の制御が密接に関与し,代謝系はこの機構を介してslow waveの発生を制御しているものと推測される。
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