Project/Area Number |
09670127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 邦夫 阪大, 医学部, 助教授 (90201780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 洋 大阪大学, 医学部, 助手 (40273685)
宮本 一政 大阪大学, 医学部, 助手 (60273679)
小清水 右一 大阪大学, 医学部, 助手 (50281126)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | LIMキナーゼ / yeast two-hybrid / POZドメイン / ウィリアム症候群 / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
LIMキナーゼ(LINK)は我々のグループが同定した新規のセリン/チロシンキナーゼであり、LIMK1とLIMK2の2つのサブタイプが存在する。LINKは2つのLIMドメインとPDZドメインを併せもつなど他に類を見ない構造的特徴を有する。成体においては、LIMK1は脳・神経組織に限局した発現が認められる一方、LIMK2は脳を含む広い組織で発現されている。最近LIMK1は発現認知能に異常をきたす遺伝子疾患ウイリアムス症候群の原因遺伝子であることが明らかにされた。しかしながら、その発症機構を含めてLIMKの機能はほとんど不明であり、その機能を明らかにする上で基質や活性化因子の同定は不可欠なものである。今回、Yeast Two-Hybrid法を用いて既知・新規蛋白質をあわせて56種ものLIMK相互作用分子を同定した。LIMK1の相互作用分子として既知分子を18クローン、新規分子を9クローン同定したが、既知分子の中には、アクチンに結合する細胞骨格系蛋白質、DNA複製装置を構成する蛋白質、ならびに新規のZinc-Finger蛋白を含む数種の転写因子が含まれている。一方、LIMK2からは既知分子を14クローン、新規分子を15クローン同定した。その中には、やはり細胞骨格系の蛋白質や転写因子が含まれる他、核分裂装置を構成する蛋白質やWntカスケードに関わる分子などが含まれている。 マウスLIMK2は様々な組織で発現しているが、LIMドメインを欠失した精巣特異的LIMK2バリアントは減数分裂後精母細胞や精子細胞に限局した発現がみられた。 Yeast Two-Hybrid法によってLIMKと相互作用する分子が予想をはるかに上回る種類同定された。これまでにLIMドメインをもつ蛋白質は細胞骨格の制御に関与するもの、核内転写因子として機能するものが知られていることから、LIM蛋白質群は細胞形態の変化によって引き起こされる増殖・分化の制御や遺伝子発現の切り換えといった未知の情報伝達系に関与することが推定された。実際にLIMK相互作用分子の中には細胞骨格系蛋白質や転写因子が多く含まれており、正常細胞とがん細胞を区別するanchorage dependencyを制御する情報伝達、細胞形態変化の察知から遺伝子発現の切り換えに至る情報伝達系などにおいて、LIMKは重要な機能を果たすことが予想される。また、LIMK1にはDNA複製装置、LIMK2には核分裂装置の蛋白質が相互作用しており、LIMKが細胞周期の制御にも密接に関与している可能性が示された。 LIMK2はそのファミリー分子であるLIMK1との同様、脳・神経発生における重要性が示唆されているもののその機能はほとんどわかっていない。今回、精巣特異的に発現するLIMK2バリアント、tLIMK2を同定し、その発現が減数分裂期の生殖細胞に限局していることを明らかにしたが、tLIMK2は細胞内局在や活性化状態が通常のLIMK2分子とは異なることが示唆され、生殖細胞形成、特に減数分裂制御過程において重要な役割を担うものと考えられる。
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