カテコラミン反復投与による脳グルココルチコイド受容体の変化
Project/Area Number |
09670973
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼知 寿美子 (吉田 寿美子) 東北大学, 医学部, 助手 (50261532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (00261636)
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Project Period (FY) |
1997 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | メタンフェタミン / 逆耐性現象 / グルココルチコイド受容体 / heat shock protein (HSP)90 / mRNA / 近交系ラット / heat shock protein(HSP) 90 |
Research Abstract |
カテコラミン作動薬であるアンフェタミン、メタンフェタミン(MAP)、コカイン等の反復投与動物で観察される逆耐性現象(以下逆耐性と略)はヒトにおける精神病状態の発症と再発の動物モデルとされている.グルココルチコイドはその細胞内受容体に結合し、核内に移行したグルココルチコイド・受容体複合体は標的遺伝子の上流に存在する応答配列に結合して転写調節因子として働くことが知られているが、最近、グルココルチコイドが逆耐性の形成や発現に促進的に作用することを示唆するいくつかの報告がある.今回我々は、HPAアクシスの反応性、中枢刺激薬への逆耐性形成について、対照的な性質を有することが知られている近交系ラットのFischer344(F)とLewis(L)ラットにMAPを連日投与し、逆耐性の形成、脳グルココルチコイド受容体mRNAの変化、及びグルココルチコイド受容体のシャペロン蛋白であるHSP90mRNAの変化に関して検討した。 MAPを1日1回、21日間連日投与した際に、常同行動でみた逆耐性をLは速やかに発展させたが、Fでは有意に遅延していた.MAP投与後3時間の線条体グルココルチコイド受容体mRNAは、急性投与では両系統共に差がなかったが、慢性投与により、Fで有意に増加、Lで有意に減少していた。海馬では、MAPの急性投与によってLでグルココルチコイド受容体mRNAが減少したことを除けば、大きな変化はみとめなかった.小脳では、MAPの急性投与により、Fでグルココルチコイド受容体mRNAは有意に減少、慢性投与では有意に増加していたが、Lでは差を認めなかった。 線条体、海馬、小脳で、MAP投与後3時間のHSP90mRNAは、急性投与で両系統で有意に増加したが、慢性投与ではFで有意に上昇、Lでは減少していた。MAPの投与初日にはF.L共に、投与後に直腸温は有意に上昇したが、投与20日目には、Fでは有意な上昇を認めたものの、Lは変化がなかった. 以上の結果をまとめると、MAPの慢性投与による逆耐性を、Fは形成しづらく、Lは速やかに形成し、これはコカイン逆耐性をみた既報と一致していた.また、MAPの慢性投与で、線条体グルココルチコイド受容体mRNAはFで有意に増加、Lで有意に減少した.Fにデキサメサゾンとコカインを併用して投与した際には逆耐性がLと同様に形成されること、コカイン、アンフェタミンはコルチコステロン分泌を刺激することが報告されており、FはHPAアクシスを介したフィードバックにより、MAP慢性投与時にはグルココルチコイドの分泌が抑制され、これが逆耐性の形成を妨げ、さらに受容体のアップレギュレーションを生じ、Lではその逆の現象が起こっていることが予想された.HSP90mRNAは、MAPの慢性投与で、調べた全ての脳部位であFにおいて有意に増加、Lで有意に減少し、この変化は体温の変化と一致していた. しかしながら、平成10年10月1日よりミシガン大学に留学することになり、研究を続けることが不可能となってしまった. そのため、オートラジオグラフィー法で半定量的にグリココルチノイド受容体の発現量の逆耐性に伴う変化をF及びLラットで比較検討することや、受容体の蛋白レベルでの比較検討については十分に検討することができなかった.
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)