急性腎不全の回復過程におけるユビキチン依存性蛋白質分解系の意義
Project/Area Number |
09671179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Kidney internal medicine
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy (1998) Jikei University School of Medicine (1997) |
Principal Investigator |
柴崎 敏昭 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (60100921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90112812)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 急性腎不全 / 細胞障害 / ユビキチン / マルチユビキチン鎖 / プロテアソーム / イムノアッセイ |
Research Abstract |
ユビキチン-プロテアソームシステムは細胞内の蛋白分解を制御することで、細胞周期、シグナル伝達ストレス応答など様々な現象に関る。本研究は、薬剤・重金属による腎尿細管細胞の傷害に対して同システムが果たす役割、その意義を解明する目的で行った。本年度は、有用な抗癌剤ながら腎毒性が問題となるシスプラチンの検討を行った。なお、昨年度用いたPtKl細胞は有袋類由来で各種抗体・核酸プローブとの反応性に種特異性の問題を生じた。そこで、ブタの株化近位尿細管細胞LLC-PKlによる細胞傷害実験系を実験に供した。 シスプラチンはLLC-PKl細胞の増殖を阻害し、そのIC_<10>は約3μMと見積もられた。この条件下で細胞内ユビキチン量の変化を検討した結果、分解シグナル“マルチュビキチン鎖"はシスプラチン添加後経時的に増加し、対象群と添加後96時間群に統計学的有意差を認めた(p<0.05)。また、プロテアソーム阻害剤でユビキチン化蛋白の分解を停止させてもマルチュビキチン鎖は経時的に増加した。そこでシスプラチンとプロテアソーム阻害剤を併用したところ、そのレベルは相加的に上昇した。以上の結果から、シスプラチンはユビキチン化反応を促進し、これによって標的蛋白の分解が亢進すると考えられる。現在、この背景として、シスプラチンが細胞内蛋白を変性させる可能性を想定しているが、今後の課題である。なお、シスプラチン処理は、細胞内遊離型ユビキチンレベルも有意に増加させた。おそらく、同薬剤はユビキチン遺伝子発現のトリガーにもなり得ると推定している。 以上、シスプラチンによる細胞傷害の際に、ユビキチン-プ口テアソームシステムが明確に応答することを見出した。これを昨年度のゲンタマイシンおよびカドミウムの結果と比較すると、カドミウムの場合に類似する。今後、傷害過程でユビキチン化される蛋白質を同定し、その分解が担う役割を追求する。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)