Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
膵癌は最も予後の悪い癌の一つであり,特に肝転移は重要な予後因子である.そこで,複数のヒト膵癌培養細胞株を肝転移群と非肝転移群に分け,両者のmRNA発現の差異をdifferential display法(以下DD法)にて解析し,転移に関連する遺伝子の同定を試みた. その結果(1)ヒト膵癌培養細胞株の肝転移能をヌードマウスの経脾肝転移モデルで,AsPc-1,BxPc-3,SW1990は肝転移能を有し,Capan-2,PaCa-2は肝転移能を有しなかった.(2)DD法を肝転移群(BxPc-3,SW1990)と非転移群(Capan-2,PaCa-2)の間で施行し,転移群にだけ発現したバンドより,Interleukin-1α(IL-1α)の3'末端のDNA flagmetが検出された.(3)ヒト膵癌,胃癌,大腸癌培養細胞株にてIL-1αのmRNA発現をRT-PCRにて確認したところ,ヌードマウスでの経脾肝転移能とIL-1αのmRNA発現が一致した.(4)IL-1β,IL-1レセプターtype I,type IIまた,他の消化器癌にて浸潤,転移に関連するとされるmatrix metalloproteinase-2(MMP-2)およびMMP-9のRT-PCRによる発現の有無を検討したが,転移能とは一致していなかった.(5)SW1990,PaCa-2の浸潤能をマトリゲルを用いて測定,抗ヒトIL-1α(poly)抗体を添加し浸潤能への影響を観察すると,抗体無添加では両者の浸潤能に有意な差は認められなかったが,抗体を添加すると,SW1990では抗体濃度依存性に浸潤能が減少し,PaCa-2に於ては抗体の影響は認められなかった. 以上より,肝転移能にIL-1αの発現が関与している可能性が示唆された.また,転移能を有するSW1990細胞株に於てはその浸潤能にIL-1αの関与が示唆された.
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