Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
昨年度,脳内微小透析法を用いて,抗躁病薬炭酸リチウム(Li_2CO_3)のラットへの慢性投与は,海馬シナプス後セロトニン(5-HT)_<1A>受容体を介する海馬コリン作動性神経活性化機構を促進させることを明らかにした.本年度の研究では,抗躁病薬Li_2CO_3を21日間反復投与したラットにおいて,海馬5-HT_<1A>受容体数およびリガンドの受容体親和性の変化,海馬5-HTおよび5-HT代謝物(5-H[AA)含量の変化を検討した. 雄性,8週令のWistar系ラットに0.2%Li_2CO_3含有飼料を3週間与え,慢性投与群とした.対照群には通常飼料を与えた.常法に従って,海馬よりシナプス膜を調製した.5-HT_<1A>受容体作用薬[^3H]8-OH-DPATをリガンドとして,海馬シナプス膜に対する飽和結合実験により5-HT_<1A>受容体数およびリガンド親和性を調べた.海馬5-HTおよび5-HIAA含量は蛍光法により定量した. 1)海馬5-HT_<1A>受容体数および親和性の変化 慢性リチウム投与は,5-HT_<1A>受容体数に対して影響を及ぼさなかった.また,5-HT_<1A>受容体への[^3H]8-OH-DPAT結合の親和性も変化しなかった.5-HT_<1A>受容体自体の機能には慢性リチウム投与は影響しないことが明らかとなった. 2)5-HTおよび5-HT代謝物(5-HIAA)含量の変化検討の親和性 慢性リチウム投与は,海馬5-HTを増大させた.しかしながら,海馬5-HIAA含量は変化しなかった.すなわち,慢性リチウム投与により5-HT代謝回転が抑制されていることが示唆された. 本研究課題の結果より,慢性リチウム投与は,1)5-HT神経系を介する海馬コリン作動性神経活性の促進作用を増大させる,2)海馬コリン作動性神経の自己遊離抑制機構に影響を及ぼすことが明らかとなった.Liの抗躁病作用に,5-HT_<1A>受容体を介する海馬コリン作動性神経活性の促進作用が関与している可能性が明らかとなった.
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