運動視知覚における局所情報の時空間的統合過程の解析
Project/Area Number |
09710065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
井戸 啓介 財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究員 (60291001)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 視覚 / 心理物理学 / 運動視 / 対比 / 同化 / ランダムドット / 受容野 |
Research Abstract |
視覚的な運動情報処理において,空間的に近接した対象間で促進的な相互作用が存在することが知られている.本研究では,このような相互作用の空間的なスケールを,確率的ランダムドットキネマトグラム(S-RDK;フレーム間で同一方向に一定距離移動するシグナルドットとランダムな方向へ移動するノイズドットから構成されるキネマトグラム)を用いて明らかにし,運動情報の空間的相互作用を媒介する機構の特性について検討した.まず,シグナルドット率の異なるS-RDKで構成される複数の領域が,一様な単一の領域として知覚される刺激の大きさを求め,空間的統合が生じる範囲の指標(critical size)とした.次に,critical sizeのテスト刺激に対して,その周辺に呈示される誘導刺激が及ぼす影響を測定し,critical sizeよりも大きなスケールで生じる誘導効果の特性から,運動情報の空間的相互作用を媒介する機構の受容野構造を解析した.その結果,critical sizeはS-RDKのフレーム数・呈示時間・移動距離によって変化しており,運動情報の空間的統合が生じるスケールは、これらの刺激要因によって影響を受けるといえる.また,2フレーム呈示の場合と8フレーム呈示の場合で,誘導刺激がテスト刺激の見かけの運動方向に与える影響は大きく異なっている.すなわち,2フレーム呈示ではテスト刺激が誘導刺激と同方向に運動して知覚される割合が増加する「同化」現象が,8フレーム呈示ではテスト刺激が誘導刺激と逆方向に運動して知覚される割合が増加する「対比」現象が生じている.以上の結果から,運動情報の相互作用はcritical sizeで定義される空間的統合の範囲を越えて生じること,また相互作用の現れ方は刺激の時空間要因によって変化し,フレーム数が少なく呈示時間・移動距離が大きい場合には促進的に作用する機構が,フレーム数が多く呈示時間・移動距離が小さい場合には抑制的に作用する機構が優位に働いていると考えられる.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)