Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究は、消費税に対する国民の反応を、心理的公正面から調査・分析したものである。目的は、消費税導入時の研究、および、税率引き上げが実施された前年度の調査との比較において、公正判断基準の安定性と変動性を明らかにすることである。本年度の調査は、税率引き上げより1年9ヶ月後に実施された。対象は、確率比例法により抽出された京都市有権者1000人。郵送訪問回収法を用いた。有効回収率は、58.5%。消費税評価項目(10項目)を用い、最尤法による因子分析を行ったところ、2因子が抽出された(累積説明率57.6%)。バリマックス回転後の構造から、第1因子は「手続き的公正」、第2因子は「結果の(分配的)公正」と解釈された。消費税導入時の分析結果(Takenishi,M.&Takenishi,A.1990,Social Justice Raearch,Vol.4,251-264;Takensihi,A.&Takenishi,M.1992,Social Justice Research,Vol.5,415-492)、および前年度の分析結果と同様に、回答者は、結果と手続きを分離し、評価していた。税制評価において、「手続き的公正」と「結果の公正」の2次元が、安定した心的基準であることが示された。続いて、消費税の評価構造を吟味するため、各評価側面が、消費税の心的受容ならびに2種の公正感に及ぼす影響を、重回帰分析を用いて検討した。心的受容度を従属変数とするモデルでは、消費税そのものの公正さ、審議十分性、ひろくうすくという消費税の持つ性質、および、満足感の影響が認められた(β=.404〜.069;adj R^2=.696,p<.0001)。消費税そのものの公正感に対する有意な影響因は、手続き的公正、性質、満足感であった(β=.-445〜.082;adj R^2=.598,p<.0001)。また、手続き的公正に対する有意な影響因は、審議十分性、公開性、配慮感、還元感であった(β=.232〜.088;adj R^2=.0391,p<.0001)。手続き的公正は、受容に直接影響はせず、消費税そのものの公正感を通じて、受容を高めることが示唆された。
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