Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本研究は,知的障害者のバランス機能の障害要因を解明して,その要因に応じた教育指導法を開発することである.平成10年度は,知的障害者のバランス障害の要因に応じた教育指導法を考案した.まず,バランス障害の実体を明らかにするに当たり,身体動揺,片足立ち,平均台歩き,通常歩行,最速歩行,足踏み運動など様々なバランス機能の測定を入所施設を利用する知的障害者に行った.また,必要に応じて健常者のデータも測定した.その結果,生理的側面である運動機能の障害と,心理的側面である言語の行動調整機能の障害という2要因を仮定した.要因に基づく指導の原則として,以下のことが考えられた.まず,生理的運動機能に問題がある者に対しては,運動能力それ自体を増やすような教育的働きかけが必要であることがわかった.その際,知的障害者は受け身的に運動を行うのではなく,自発的に楽しみながら行うことの重要性が示唆された.このようなタイプには知的障害者の臨床系のうちダウン症者が特に多いことがわかった.次に,言語の行動調整能力に障害がある者に対しては,意味のある文脈の中で運動を実行させるような指導が必要だと考えられた.また,行っている課題を常に意識させて運動させることも重要であった.このようなタイプには知的障害の臨床系のうち自閉症者が特に多いことがわかった.今後の課題として,これら2つの要因が関係していることが妥当であるかどうか,そしてそれと臨床系の関連についてなどを更に深く検討することが必要であると考えられた.
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