近現代の日本社会における金銭観と経済倫理に関する社会学的研究
Project/Area Number |
09710135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
永谷 健 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50273305)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 近代日本 / 実業家 / 言説 / 上流文化 / 企業家 |
Research Abstract |
平成10年度の研究では、大正・昭和期において模範的経済人としてしばしば社会的に注目された財界人や実業家たちの明治・大正・昭和初期における、社会的・文化的活動に関する研究を進めた。とくに、彼らがアッパー・クラスとして階層形成していく過程が、経済倫理の形成・変容といかに関わっているかに焦点を合わせた。具体的には、次の文献資料の収集と解読・分析を進めた。 1、 横浜開港資料館・渋沢資料館所蔵の明治期経済団体に関する諸文献。2、五島美術館・静嘉堂文庫・池田文庫における財界人の社会的・文化的活動に関する資料。3、近代日本の代表的財界人の伝記・自叙伝・日記。4、交詢社関係文献資料。 資料1、2、3の分析によって明確になったことは、以下の点である。 (1) 明治12年頃、実業界ではハイ・カルチャーを志向する横断的な社交サークルが出現した。 (2) 外賓の饗応という政治的課題に実業家が動員されたことは、社交サークルの出現を促した要因のひとつである。 (3) 明治前期の社交サークルに見られる実業家たちの趣味嗜好の変化は、明治における伝統芸能の天覧による権威づけプロセスと深く関わっている。 (4) 明治後期から昭和初期にかけて実業家たちが表出した経済倫理や金銭観に関する道徳的言説は、新興企業家(成金)たちと自己をいかに差異化するかという戦略と深く関わっており、そうした道徳的言説とリッチな自己の現実との裂け目に、近現代日本の実業家文化は成立した。 また、資料4の分析により、明治以降のいわゆる「紳士録」の出版が、紳士概念の大衆化と脱道徳化の契機となったことを明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)