Project/Area Number |
09710155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
薬師院 仁志 帝塚山学院大学, 文学部, 助教授 (50243001)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 学歴 / 階級 / 欲望 / 日本社会 / フランス社会 / 受験競争 / 教育 / 現代社会 |
Research Abstract |
本研究では、まず、次のような事態を確認した。日本では現在の自国の受験競争の激化が社会問題視される一方、フランスでは自国の階級構造の閉塞性が問題視されており、むしろ日本の受験競争を肯定視する者さえ登場している。しかし、フランスでは日本のような過熱した受験競争は見られないが、学歴による地位の規定性は高く、特に国家的なエリート層の殆どは有名なグランゼコール出身者で占められている。また、グランゼコールの卒業生は企業への就職においても圧倒的に有利であるばかりでなく、新入社員でも勤続20年以上の一般社員よりも高い待遇が与えれられることも多い。つまり、理念上は、どのような階級の出身者であっても、高学歴の獲得によって社会・経済的地位の飛躍的な上昇が可能だということである。逆に、日本の場合学歴による待遇格差は国際的に見て極めて小さく、高学歴の獲得だけで社会・経済的地位を大きく上昇させることができない。地位移動の可能性としては、むしろ日本の方が狭いと言うことさえできるのである。さらに、フランスでは受験産業を介したような進学競争は見られないものの、バカロレア試験を始めとして、非常に厳しい競争と選抜が繰り広げられている。以上のような事実を受け、本研究では、フランスとの比較の下、日本における受験競争の特徴点を以下のように明らかにした。まず第一に、将来の地位に直結しない学歴は、容易に自己目的化し、逆接的に進学競争を激化させるということ。第二に、地位形成力の弱い学歴は、その獲得においても出身階層の影響を受けにくいため、日本では学歴の獲得における階級的格差がフランスほど顕著ではなく、受験競争が大量化かつ大衆化しやすいということ。第三に、日本の単線型選抜システムでは、手近な欲望充足のゴールを提示できないということ。日本の受験競争を支える欲望は、以上のような傾向を背景に生み出されてきたと考えられる。
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