Project/Area Number |
09710242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
上川 通夫 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (80264703)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 聖教 / 一切経 / 覚禅鈔 |
Research Abstract |
平安末・鎌倉初期に編集された『覚禅抄』(百余巻)について、東寺観智院本と随心院本について、調査した。写真撮影と焼き付けを行い、整理のめどをたてた。内容の考察については、一部を「文献史学からみた密教図像」と題して文章化し、東寺宝物館特別展図録『東寺の密教図像』(1999年3月)に寄せ、聖教が歴史史料として重要であることの一端を政治史に即して述べた。この他、順次研究を纏めていくための条件を整えた。 聖教類が歴史研究者にあまりよく認識されていないという盲点をつ衝いて、「文書様式の聖教について-杲宝筆範俊解写-」(東寺文書研究会論文集、1999年5月刊行予定)を執筆した。『平安遺文』等に載せられ文書として扱われているが、実は聖教として作成されたものである。そのように見てこそこの文献から平安末期と南北朝期の政治史・宗教史・寺院史の情報を引き出すことが出来る、と述べた。 聖教の中でも特別の位置を占める一切経について、論文を2篇作成した。その前提となる作業として、7世紀から12世紀までの一切経関係の史料を網羅し、「一切経年表」を作成した。これに基づき、「一切経と古代の仏教」(『愛知県立大学文学部論集』第47号、1999年3月)と「一切経と中世の仏教」(『年報中世史研究』第24号、1999年5月予定)を執筆し、年表を前者に付した。ともに、対外関係史と密接に関係する国家史の一部として仏教史を捉えることの有効性を提示し、一切経研究がそのための重要課題であることを述べた。前者の論文では、支配集団による古代仏教の汎東アジア性志向とその独占形態を見、後者の論文では、中世仏教の擬似的汎東アジア性を政権主導者が構築しようとしたことを述べた。このほか、年表作成に伴って収集した史料を整理し、今後の研究の基盤を整えた。
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