Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本科学研究費の補助を受けて購入したデータ記憶装置等を活用し,言語資料(コーパス)の整備を行った。その結果,従来の手作業による資料収集方法では考えられないほど膨大な事例を,簡便かつ短時間で収集できるようになった。当該コーパスから,本年度の研究対象である前置詞句と述語形容詞の構文を,コンピューターとソフトウェアの積極的使用によって抽出・計量し,その成果を図表として可視的に提示することが可能となった。こうしたコンピューター支援の実証的手法を導入したことにより,理論的新展開を後押しする強力な根拠となりうることを示した。理論的には,当該構文の形成に関して,統語論・意味論・語用論といった各領域における従来の理論上の成果と照らし合わせた結果,部分的に修正・変更を施す必要性が明らかになった。具体的には,統語論における主要部と補部の方向性・語順であり,それには当該形容詞の持つ名詞的特徴と動詞的特徴の強さという特徴が関与していること,および形容詞の持つ意味内容に応じて,副次的に語用論的要因が加わり,語順変異の生じることを明らかにした。このように,各分野における諸要因統合の結果が,述語形容詞と前置詞句による構文を規定するという新たな知見を加えるに至った。 本研究の成果は,日本独文学会秋季発表会(1998年10月17日,関西学院大学)における一般研究発表(語学)(発表題目「前置詞格目的語と形容詞の語順を規定するものーーコーパス分析に基づく語用論的説明の可能性」)として口頭発表した。さらに,日本独文学会の機関誌『ドイツ文学』第102号に,論文題目「形容詞と前置詞格目的語の語順ーーコーパス分析に基づく計量的構文研究」として投稿し,編集委員会の審査を経て,受理・掲載許可された(印刷中,1999年5月に刊行予定)。
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