地球環境保護に関する国際法制度の創設とその実施における正当性と公正さの主張
Project/Area Number |
09720019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
International law
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 明穂 岡山大学, 法学部, 助教授 (00273954)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 国際法 / 正当性 / 地球環境保護 / 南極条約 / 協議国会議 / 公正 / 法源 / 国際法形成過程 |
Research Abstract |
1 地球環境保護に関する国際法制度が、その遵守を関係諸国に対して要求し得るのは、その制度創設及び実施が正当プロセスに則っていることが必要である。この仮説を実証的に論証していくことが、本研究の目的である。本年度の研究成果は、南極条約体制における国際法制度創設・実施過程の検討を通じて、この仮説をかなりの説得力をもって提示しえることが明らかになったことである。 2 国立極地研究所及び外務省地球規模問題課における南極条約体制に関する資料の地道な収集・分析・検討の結果、以下の諸点が明らかになった。(1)1970年代以降、南極資源の保存と開発を規律する国際法制度を創設するフォーラムとして、少数の南極利害関係国で構成される協議国会議か、それとも国連総会のような普遍的な機関のどちらが正当性があるかが争われた。(2)協議国会議の開放性と情報公開を求める国際社会の圧力に対して、協議国は、非協議国のオブザーバー参加、会議文書の原則公開、協議国資格取得の条件緩和という一連の制度的改革を行い、協議国会議の正当性を向上させた。これらの措置は、協議国会議の国際社会に対するアカウンタビリティー(説明責任)を向上させたといえる。(3)この正当性向上の結果、1988年鉱物資源活動規制条約には、途上国や非協議国の意向を反映した多くの規定が挿入され、その遵守力向上に貢献した。3 鉱物資源条約は、しかしながら、豪国と仏国の署名拒否により発効せず、代わりに1991年に南極環境議定書が採択された。このプロセスには様々な要因が関わるが、その一つとして、開放性の向上した協議国会議国際法創設過程に対する非国家アクター、特に環境NGOの影響が挙げられる。これも、別の意味で、協議国会議のアカウンタビリティーを向上させ、究極的には、そこで創設される国際法の遵守力を向上させると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)