Project/Area Number |
09720030
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤本 利一 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (60273869)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | 当事者照会 / ディスカバリー / エクイティ / コモンロー / 連邦民事訴訟手続 / 新民事訴訟法 / 集中審理 / 開示制度 / 文書提出命令 / ディスクロージャー / 手続裁量 |
Research Abstract |
わが国の当事者照会制度の理論的基礎を探求するには、その母法ともいえるアメリカ合衆国のディスカヴァリー手続の実態分析と理論的位置づけを考究することが肝要である。そこで、まず合衆国の連邦民事訴訟手続の特徴と性格を歴史的研究により明らかにし、つぎにそれらを反映したディスカヴァリー手続の現状と理論的位置づけを明らかにしたうえで、当事者照会制度への示唆を提供することが本研究の課題である。合衆国の連邦民訴手続の特徴は、裁判官に強力な手続裁量を認めるところにある。このことは、社会構造改革訴訟への否定的価値判断を伴う行き過ぎた形式主義への反省から、エクィティ手続の特徴を重視した結果であり、連邦民事訴訟規則の起草メンバーらは、ニュー・ディール期の社会・経済的混乱を背景に、司法過程を経由して新しい権利を創造するためには、手続の形式主義や予見可能性を若干犠牲にしてもやむを得ないと考えたようである。ただ、このようななかで、起草メンバーの思惑とは異なり、ディスカバリー手続が肥大化してしまい、連邦民訴手続は口頭での討議重視から書面中心の手続へとその性格を変化させ、さらに訴訟遅延や手続コストの増大が深刻な問題として顕れてきた。それゆえ、今日では、裁量重視の方向性に疑問が提示され、自主的開示手続の導入が行われ、さらにディスカヴァリー手続の大規模な実態調査が行われた。とくに、自主的開示手続の導入に際しては、関係当事者間での情報共有の重要性とかかる手続を利用する主体の「相互性」が強調された。これらの点から得られる示唆は、理論的には、社会・経済的な文脈の認識、コスト面からの理解、関係当事者間での情報の共有と「相互性」の認識の重要性であり、また、実態面においては、わが国における当事者照会制度の大規模な実態調査の必要性であり、かの地の調査はひとつの手がかりとなりうることである。
|