Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
今年度は,これまで進めてきた労働条件変更法理の研究についての集大成を行った。日本法に関しては,具体的には,まず第一に,労働条件変更法理について,近年相次いで出された最高裁判決(就業規則の不利益変更,労働協約の規範的効力・一般的拘束力に関するもの)をフォローし,それについての分析・検討を行ってきた(その一部は,判例評釈として,雑誌に掲載している)。第二に,労働契約論については,労働契約と私的自治との関係,さらには労働条件決定メカニズムにおける契約自由・私的自治の位置づけについて原理的な研究を進めた。外国法については,とくにイタリア法について,労働協約の一般的拘束力や従業員代表についての最近の議論の動向を検討してきた。これらの研究の成果については,モノグラフにまとめてすでに公表している(『労働条件変更法理の再構成』(有斐閣,1999年))。 今後の研究課題としては,まず第一に,労働基準法などの労働保護法について,これを労働契約に対する規制という観点からとらえ,民法における消費者契約に関する議論の動向にも目を配りながら,より包括的・体系的な労働契約論の構築を目指すことである。 第二に,労働条件の変更という問題は,それが集団的・制度的に行われる場合でも,個別的に行われる場合でも,労働者の保護のための労働者代表の関与が重要である。労働組合の機能低下が言われるなかで,従業員代表法制をどのように捉えていくべきかという点についても,引き続き研究を継続していく予定である。
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