Project/Area Number |
09720038
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social law
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
諏佐 マリ 熊本大学, 法学部, 助教授 (40284731)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 寡占的協調行為 |
Research Abstract |
寡占市、場においては、相互依存的な並行的価格行動がとられるのが一般であるといわれているが、かかる行動の反競争効果は著しく、そのためにいかなる対応措置を講じるかが、我が国を含め諸外国に共通の課題となっている。このような同調的な価格設定行動については、経済学の分野におけるゲーム理論の観点から、かかる行動が、いわゆる純然たるカルテルとは別に成立しうることが、理論的検討を通して明らかになっている。このように、寡占市場に特有な並行的価格設定行動が、各事業者の単独の行動の一致した結果であるという理論的可能性が否定され得ない以上、そのすべてをカルテルとして規制の対象に含め、なんらかの措置をとることは困難となる。アメリカにおいては、シャーマン法1条にもとづくカルテル規制の範囲を大幅に拡大してかかる問題に対処すると同時に、その射程に含まれない行為については、シャーマン法2条、または連邦取引委員会法5条を有効に活用している点が注目されている。 平成9年度においては、シャーマン法2条および連邦取引委員会法5条にもとづく判・審決例の収集・整理を行い、シャーマン法2条に定める「独占化の企図」を違法性の根拠とする規制に関しては、それを具体化した例が多くはなかったため、日本の独占禁止法の「私的独占」行為の禁止規定を念頭においた理論的検討に止め、連邦取引委員会法5条の活用に着目して研究を進めることとした。そして、平成10年度において連邦取引委員会法5条の審・判決例から導き出される法理を検討した結果、同条については、事業者の単独行為であっても、その規制の対象とすることができ、また将来にむけての排除措置命令を中心とする有効な措置を講ずることができるという積極的な規制への役割をはたしていることが明らかになり、日本における規制を考える場合の重要な示唆を得ることができた。
|