Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は所有権の帰属が事前に明確でない場合として,R&D競争に代表される企業間のContestに注目する。Contest以外の確定所得を得る選択肢が存在するとき,企業家間で危険回避度が異なる場合に,どのタイプの企業家がContestに参加する傾向があるかを内生的に決定するプロセスを,2段階非協力ゲームの枠組みで分析した。主な成果としては,(1)危険回避度が経済主体間で連続に分布しているとき異なる選択が出現する際の,確定的所得レベルと危険回避度の境界値の分析では,期待効用関数下における一般的充足条件を導出するとともに,特定の効用関数を用いてパラメター化し,それについて確定的賃金レベルの変化がその境界値に及ぼす影響について調べた。その結果,危険回避度の主体間での差が適当な範囲内であるとき,より回避的な主体がより積極的にcontestに参加する一方,回避的でない方がContest参加を断念する場合が出現することがわかった。(2)2段階ゲームで相手のContest参加不参加を観察することができる場合には,より危険回避的な主体が先手であるとき,両者の危険回避度の差が開くほど,より危険回避的な主体のみがContestに参加する場合が生じ易いことがわかった。(3)非連続な3人以上の参加者がいる場合のcoalition形成の可能性の分析については,より回避的な主体どうしが協力する傾向があり,回避度が高いほどそれが安定であることがわかった。更に,(4)静学的モデルについて,投資レベルの選択肢が非連続な場合と連続な場合の2種類の実験をデザインした。選択肢が非連続な場合にはほぼ理論に沿った行動が見られ,より危険回避的な主体のみがContestに参加する状態を実現させることができた一方で,選択肢が連続の場合には全く理論と関わりのない結果も出現することがあり,今後のデザイン改善と原因究明が必要となった。また,上の(3)の課題と主体の意思決定基準が非期待効用である場合についての分析は未だ途上であり,今後実験研究とともに理論研究も継続して発展させることを予定している。
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