Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
昨今における情報技術の飛躍的発達や経営諸活動のグローバルな展開にもかかわらず,情報技術と組織構造の相互関係に関する本格的な国際比較研究は多くは見られない。ましてやそのテーマを,国レベルでの文化(ナショナル・カルチャー)とかかわらしめて論じようとした研究はさらに少ない。本研究は,この研究上の間隙を埋めるべく,工場の現場作業組織における情報技術の利用のされ方に,ナショナル・カルチャーという要因が影響を与えうるか否か,与えるとすればいかなる組織的メカニズムを通じてであるのかについて,イギリス・日本の両国における実態調査をもとに明らかにしようとするものである。両国における実証分析の結果明らかにされた主たるファインティングは, 「個人型利用」(individual-oriented IT use)よりも「統制型利用」 (control-orientcd IT use)の次元においてナショナル・カルチャーの影響はより顕著であり,日本企業の方がイギリス企業に比して,より高い「統制型利用」を志向しているという点である。より具体的には,日本企業の方が,重要情報への現場作業者によるアクセスが難しく,情報のトップダウン型伝達が多く,業務内容の標準化・単純化の程度が高い,等の発見事実が明らかにされた。本研究のポイントは,これらの日英工場の平均像の差異が,日英両国のナショナル・カルチャーの相違に基づいている可能性があるということである。情報技術と組織構造の間の相互作用関係(「創発的プロセス」:emecrgent process)において,実際にナショナル・カルチャーは重要な役割を果たしうるのであり,今後の国際比較研究においては,従来必ずしも充分には検討されてこなかったこのナショナル・カルチャーという要因も重要な分析対象の1つになりうることが,実証データに基づいて初めて明らかにされた。
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