Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
Xをn次元の非特異複素射影代数多様体とし,Eを,零点集合ZがXのn-r次元の非特異部分多様体となるような大域切断を有する,X上の階数rの豊富なベクトル束とする.階数rが1であれば,この条件は,与えられた多様体Zを豊富な因子として含むことができる多様体Xの構造を決定するという,豊富な因子による多様体の分類という意味から偏極多様体の分類に関して極めて重要な位置を占める問題の仮定と全く一致している.この研究の目的は,上記の条件の下で,Zが比較的取り扱いやすい多様体の場合に,XとEから成る(X,E)の構造を明らかにして,豊富なベクトル束による多様体の分類理論を展開することであった. 以下,Eの階数rをn-1とする.このときには,Zの標準直線束KzがEの行列式直線束detEに付随したアジョイント束K_x+detEのZ上への制限として得られ,さらに,c_<n-1>(E)がZによって表されるので,2g(X,E)-2=(K_x+detE)c_<n-1>(E)とおいて(X,E)の不変量g(X,E)を定義すると,g(X,E)はX上の非特異曲線Zの種数g(Z)と等しくなる.実際,平成9年度の研究においては,アジョイント束K_x+detEの数値的に半正な性質を拠り所とし,g(Z)と等しいg(X,E)を調べることを媒介にして,g(Z)が1以下になる(X,E)を分類している.今年度は,アジョイント束の数値的な性質をさらに深く考察することによって,g(Z)が1の場合にXとEの新しい分類法を提供し,(X,E)の構造を完全に決定することに成功した.以前のものとは異なり,この方法はZの種数が2以上の場合にでも適用できるのではないかと思う.
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