Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Research Abstract |
複素解析学において,q-convex domainは,重要な研究対象の1つである.本研究では,ケーラー多様体Mの部分領域上,有界なC^2級のq-convex exhaustion functionを構成すること,また,構成できるための条件を調べることを目的として研究を行い,次のような結果を得た. ケーラー多様体Mの中に,滑らかな境界を持つq-擬凸領域Dが与えられたとし,Mの計量gから決まる,Dの境界∂Dまでの距離関数をdで表すとき,Mの正則双断面曲率が正でDが強q-擬凸なら,関数-d^α(0<α<1)は境界∂Dの近くで強q-擬凸になる.したがってD上有界な強q-擬凸関数が構成できる.但し,領域Dが“強q-擬凸"という条件が本当に必要(単にq-擬凸であれば十分)かどうかは,まだ良く分からない. 尚,得られた結果はq-convex domain関係の重要な問題の1つであるq-Levi問題へと応用される可能性があり,私自身もそれを計画していたが,その点は未解決なまま,今後の課題として残された.研究の過程において,本研究での手法(微分幾何学の第1,第2変分公式等を用いる方法)が,弱擬凸領域の研究に有用であることを知り,幾つかの新たな研究テーマを得た. また,本研究を行う過程で,q-convex domainに対する理解をさらに深めることができ,Diederich-Fornaessの意味のq-convex domain with cornersのコホモロジー群に関する興味ある結果を得た.結果は,論文としてまとめている最中である.この結果は,Andreotti-Grauert,の逆問題と関連するが,少し予想外の事実であり,いろいろな事実をどのように理解すればよいかは,今後の研究課題である.
|