Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
中和反応に関連する斉次ノイマン境界条件下の反応拡散方程式系の大域解に関し,解とその空間平均との差の指数関数的減衰を川島秀一教授(九州大学)との共同研究により求め(1997年),その論文が1998年に発行された. 続いてここ数年扱ってきたstrongly coupled systemと呼ばれる反応拡散方程式系で,一方の方程式の主要部(空間変数についての2階偏導関数の項)にも他方が関連するような斉次ノイマン境界条件下の方程式系を扱った.一般には解の非負値性は保たれないのであるが,この系の非負値大域解が存在するための十分条件を放物型方程式に対する比較定理が適用できる範囲で求めた.漸近挙動については定数定常解への一様収束性とその速さを求めた後,それが多項式的な場合に対応する常微分方程式系を考え,その解が本来の反応拡散方程式系の漸近解になることを示し誤差の減衰の評価ともとの系の解の収束の速さとの比較を行った.さらに解とその空間平均との差の指数関数的減衰性の評価を精密に行った.これらを論文に纏め学術雑誌に投稿し,掲載決定済みである. さらに発熱反応から導かれる系について,大域解とその空間平均との差が非線型項からの影響も受けて,拡散係数から決まる指数関数よりも速く減衰することを証明し,現在論文に纏めて学術雑誌に投稿する準備をしている. strongly coupled systemにおいて,比較定理からは導かれない非負値解の構成や,符号不定の解の構成とその挙動などまだ解析できていない点が多くあり,それら未解決部分の解明のため数値計算を行うことを実行し,現在共同研究を発展的に継続中である.そのために必要と思われる数式処理ソフト等を設備備品として購入した. 今年度も昨年度に続けて,研究課題に関連する文献の収集,他機関の諸研究者との情報交換等を頻繁に行うことができたが,科学研究費補助金がなければ上記の研究成果は為し得なかった.
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