ペロブスカイト型チタン酸化物におけるモット転移近傍の金属相の核磁気共鳴による研究
Project/Area Number |
09740256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 裕次 北大, 理学(系)研究科, 助手 (50280863)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | モット転移 / 核磁気共鳴 / 核スピン格子緩和時間 / 電子相関 / 反強磁性スピン相関 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型の結晶構造をもつLa_<1-x>Sr_xTiO_3は、強い電子相関の効果によりモット転移点に向かってキャリアの有効質量が発散的増大を示すことが知られている。本研究では、この系の電子相関の特徴を微視的に明らかにする目的で^<47/49>Ti及び^<139>Laの核磁気共鳴(NMR)を行った。以下にその結果の主なものを記す。 (1)Sr濃度の異なるすべての試料(x=0.05-0.8)において、^<47/49>Ti核のスピン格子緩和時間T_1は、^<Ti>(T_1T)=一定のコリンハの関係に従い、系が金属状態にあることが微視的にも明らかになった。Ti核のT_1がT_1T=一定の関係に従うことから、高温超伝導銅酸化物のCuサイトで観測されるような反強磁性スピンゆらぎの温度減少に伴う増大に起因した(T_1T)^<-1>のキューリ-ワイス的な温度依存性はなく、この系では、反強磁性スピンゆらぎの温度減少に伴う増大が認められないことが明らかとなった。 (2)Ti及びLa核の(T_1T)^<-1>のx依存性は、転移点近傍でどちらも顕著な増大を示すとともに、それぞれのx依存性がスケールしていることが明らかとなった。この結果はLa_<1-x>Sr_xTiO_3での動的帯磁率χ"(q、ω)が、xの減少に伴い、強い電子相関により波数q〜0から反強磁性波数ベクトルのq〜Qまでの成分が一様に増大していることを示唆しており、この系では、intre-atomicな電子相関によるTi-3dスピン間の反強磁性スピンゆらぎは重要ではなく、single-site(intra-band)の電子相関が「モット絶縁体-金属」転移には重要な役割を果たしていることが実験的に明らかになった。さらに、高温超伝導銅酸化物における「電荷移動型絶縁体-金属」転移に向かって金属相でintre-atomicなCu-3dスピン間の反強磁性スピンゆらぎが増大するのと対照的であることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
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