Project/Area Number |
09740301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本堂 毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60261575)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 多重安定系 / カオス / 熱機関 / ラチェット / エネルギー / 確率過程論 / カルノーサイクル / 熱力学 / エネルギー論 |
Research Abstract |
本研究課題による研究実績は以下の3つに区別される。 1. カオスノイズからのエネルギー変換論の構築 我々は、非平衡なゆらぎから仕事を取り出すことが出来る。では、どこまで仕事を取り出せるだろうか? 非平衡なゆらぎの代表例は、カオスである。本研究は、カオスから仕事を取り出す系のエネルギー効率を議論した最初の論文であり、ある範囲において、その効率は解析的にも評価されている。 2. 熱ラチェット系によるエネルギー変換効率の評価 生物分子モーター系の実験の進展にともない、外力ゆらぎから仕事を取り出す系のエネルギー変換効率に関心が集まっている。しかるにこれまで、この系のエネルギー変換効率は、確率過程論の確率流Jを以て議論されてきた。それは、揺らぎを受ける系のエネルギー変換論が構築されてこなかったためである。本研究は、エネルギー変換効率を正しく評価し、これまでのJを代替とした議論が、定性的にも正しくないことを示し、エネルギー変換問題の非自明性を明らかとした。 3. 非平衡熱機関の不可逆性の証明 熱機関とは、有限の温度差を持つ熱浴から仕事を取り出す系である。カルノーサイクルは、この熱機関のエネルギー変換効率の最大値を与えており、可逆サイクルである。では、2つの熱浴に同時に接しながら動作する熱機関の最大効率はカルノーに等しくなるのか、可逆に動作しうるのだろうか?ファインマンは、みずから考案したいわゆるファインマンラチェットを解析し、この系が可逆に動作しうると主張した。この主張は長く受け入れられてきた。本研究は、この主張が誤りであること、すなわち、この熱機関は本質的に不可逆であることを証明している。
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