Project/Area Number |
09740398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Petrology/Mineralogy/Science of ore deposit
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 智樹 九州大学, 理学部, 助手 (20260721)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 宇宙塵 / 惑星間塵 |
Research Abstract |
木星族短周期型賛星から飛来したと考えられる惑星間塵の放射光を用いたX線回折実験を行った。用いた惑星間塵試料は、Schawassmann-Wachmann第3(SW)彗星起源のもので、この彗星の軌道を地球が通過した際に、彗星から掃き出された塵を成層圏で飛行機にて集塵したものである。これらの惑星間塵は20ミクロン程度の細粒粒子であるが、一粒でsolarabundanceに近い化学組成を示す。このことは、惑星間塵一粒が極細粒の固体微粒子の集合体であることを考えあわせると、惑星間塵が形成された太陽系領域では、固体微粒子が非常に均質に混合されていたことを示す。 本研究ではガンドルフィーカメラを用いシンクロトロン放射光(高エネルギー加速器研究機構)の強いX線を利用して、惑星間塵一粒づつのX線回折実験を行い、惑星間塵一粒の鉱物組成を明らかにした。シンクロトロン放射光を分光結晶とサジタルフォーカスを用い単色化し、惑星間塵に照射した。惑星間塵の鉱物組成は存在度の多い順に、鉄を含むフォルステライト、ピロータイト、トロイライト、ダイオプサイト、カマサイトであり、含水鉱物は検出されなかった。本研究で分析した惑星間塵には含水鉱物まったく含まれていなかったので、SW彗星に含水鉱物が存在している可能性は低い。これは彗星核が極低温であるために(150K以下)、氷が溶けずに水質変成が彗星内で進行しなかったことを示唆する。本研究で求めた惑星間塵の鉱物組成は、熱力学的に計算された原始太陽系周縁部の氷に富む塵の層の鉱物組成に定性的に類似している。したがって、これらの惑星間塵は、太陽系形成期の太陽系周縁部の塵の鉱物組成を保存している可能性があることがわかった。
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