Project/Area Number |
09740414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
天辰 禎章 (天辰 禎晃) 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (90241653)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 溶液内光化学反応 / 分子動力学法 / 非経験的分子軌道法 / 非断熱遷移 / 電子励起状態 / ヨウ化シアン / スチルベン / 4-ジメチルアミノ,4′-シアノスチルベン / シス-トランス光異性化 / 4-ジメルアミノ,4'-シアノスチルベン / 電荷移動状態 |
Research Abstract |
本研究課題では、溶液内光化学反応のような多くの構成原子からなる化学反応系の計算機シミュレーションにおいて本質的に重要になる非断熱遷移などの量子力学的効果の取り扱いに関する方法論の検討およびその方法の具体的な反応系への応用を平成9、10の2年間にわたって行った。その方法として、電子状態を古典力学的な作用変数の組に置き換えることによって、電子状態の時間発展もポテンシャル面上での原子核の時間発展と同形式のハミルトン方程式で表されるというclassical electron analog(CEA)法の数値計算の簡便性に注目し、これを従来の分子動力学法と組み合わせた方法(CEA-MD法)の有効性について検討した。具体的な検討項目は次のとおりである。 1) アルゴン中におけるヨウ化シアンの光化学反応 ヨウ化シアンは気相中では電子励起によって光解離することが知られているが、アルゴン液体または固体中においては、そのかご効果により解離反応は抑制される。これを上に述べたCEA-MD法を用いて、シミュレーションしたところ、アルゴンの温度が低いほどかご効果は顕著となり、ヨウ化シアンへの緩和やイソヨウ化シアンへの光異性化がより短時間で起きることが分かった。 2) スチルベンのシス-トランス光異性化 スチルベンの電子励起状態における挙動は光化学反応にうちでも最も重要なものの一つであるが、CEA-MD法を行うにあたって必要なポテンシャル面の計算を非経験的分子軌道法により行った。MCSCF法および摂動法による大規模な計算から、質の異なる多くの実験的知見に対する説明が可能となった。これらについては論文公表および投稿中である。 3) 4-ジメチルアミノ,4'-シアノスチルベン(DCS)の電荷移動(CT)状態生成反応 DCSのCT状態の生成は実験的に知られているが、その構造については不明である。そこで、非経験的分子軌道法により、DCSの電子励起状態の計算をしたところ、よく知られたジメチルアミノベンゾニトリルのCT状態であるジメチルアミノ捩じれ型ではなく、ジメチルアニリノ捩じれ型である可能性が高いことが分かった。その成果については、現在論文に投稿中である。
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