Project/Area Number |
09740415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 耕司 筑波大学, 物質工学系, 講師 (90281641)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | プロトン移動反応 / トンネル反応 / 光合成反応中心 / 超高速反応 / 振動コヒーレンス / 分子シミュレーション / 量子化学計算 / 化学反応理論 / 凝縮相化学反応 / 分子モデリング / 光合成色素 / 光合成初期電子移動 / 非平衡動力学 |
Research Abstract |
1. 水中のフッ化水素酸の電離の微視的機構を解析した。これまで研究してきた、酸電離の逆過程であるイオン再結合について調べた。反応半径や拡散定数など、誘電連続体モデルに基づいていた従来の描像よりも微視的なレベルで再結合反応機構を議論した。また、低温においては、プロトン移動がトンネル機構で起こり、それに水溶媒の振動が結合する可能性があるので、この現象を記述する基礎理論と計算手法について検討した。 2. 凝縮相における、レーザーパルス光励起直後の非平衡状態からの、超高速非断熱遷移を記述する新理論を構築し、紅色細菌の光合成初期電子移動過程に応用した。理論的な新概念として、光励起と電子遷移の各々に結合する蛋白質環境の振動変位の方向の間の交角を明確に定義し、それに直結して、振動のコヒーレンス減衰を(現象論的ではなく)微視的に記述する方法を与えた。光合成系への応用では、実験で見出された低温における電子移動の異常な加速には、非平衡のコヒーレンス振動は(従来の考えとは異なり)余り関係なく、むしろ系の静的なエネルギー関係と媒質の量子トンネル効果の二つの因子が重要であること、スペクトルの量子ビートの解析から電子移動に伴うポテンシャル障壁などのエネルギー配置に関する定性的指標を得られる事、などを示した。 3. 発色団を持つ有機分子の、(主に極性)溶媒中における電子状態ゆらぎを量子化学的に記述し、動力学シミュレーションと組合わせる計算手法と基礎理論の開発を行った。分極効果は、基本的に一電子励起配置で記述されるが、それでも考慮すべき配置の数は非常に多い。ここでは、誘電連続体中で最適化された電子波動関数への射影を取ることで、重要な配置を選び出す新手法を開発した。これを動力学シミュレーションと組合わせることによって、吸収・発光スペクトルへの動的溶媒効果を調べる研究は、現在進行中である。
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