超高エネルギークラスターイオン源および超高速時間分解質量分析器の開発
Project/Area Number |
09740427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅井 俊樹 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50262845)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 巨大クラスター / 極超微粒子 / パルスアーク放電 / 高温パルスアーク放電法 / フラーレン / ナノチューブ |
Research Abstract |
超高エネルギークラスターイオン源は、10^3を超える大きなクラスターを100keV以上の運動エネルギーで衝突・反応させることで、これまで得られない超高温・超高圧状態を実現させるものである。今年度われわれは、このような巨大クラスターを生成できる高温パルスアーク放電クラスター源の開発に成功した。従来このような巨大クラスターを生成する手法としては、アーク放電源とレーザー蒸発源があるが、これらの方法では、蒸発過程と冷却過程を制御できないなどの欠点があった。われわれの高温パルスアーク放電法は、1000℃程度の高温炉中でパルス状にアーク放電法を行い、この蒸発過程と熱緩和過程を制御でき、しかも、使用冷却気体が少ないため高真空を必要とする質量分析器に直接接続することなどが可能である。この生成源を用いて、初めてわれわれは、フラーレンやナノチューブを生成することに成功した。 この装置は真空容器内に高温炉を設置し、その内部でパルスアーク筬電を行う。生成したクラスターは、高温炉に設置したシャッターバルブを通して、質量分析器などに導入される。生成物は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて同定した。パルスアーク放電法は従来、常温の超音速流体中で行われてきた。超音速流体中では、冷却ガスの密度(数Torr)と温度(数10K)が低いために、パルスアーク放電で生成したクラスターは急冷され、安定した大きなクラスターは生成しない。われわれの開発した高温パルスアーク放電法は、冷却ガスの密度(数100Torr)と温度(数100K)が高いために、十分な熱緩和と成長が行われる。 常温でパルスアーク放電を行った場合、フラーレンやナノチューブは観測されず、急冷されたアモルファス炭素微粒子が測定されるだけであった。炭素や金属混合炭素電極と900℃に加熱した500TorrのArを用いた場合、フラーレンとナノチューブが観測された。これは、クラスター生成源が直接熱緩和したフラーレンを生成した初めての例である。放電幅依存性を調べたところ、1ms以下の放電幅ではNi/Co混合電極を用いた場合、フラーレンだけが生成するのに対し、1ms以上では、フラーレンが生成せず、かわりに、単層ナノチューブが生成することが明らかになった。これは、フラーレンと単層ナノチューブが共通の物質から生成していることを示唆している。このように、この方法は蒸発・熱緩和過程をそれぞれ独立に制御することにより、フラーレンやナノチューブの機構とともに、効率のよい選択的生成法が確立できる可能性がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)