Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
輪切りにした摘出血管の輪を切断すると円弧状に開くことが多い.これは摘出血管の内壁に圧縮,外壁に引張りのひずみが残留していたことを示し,血管壁が生理状態で壁内のひずみゃ応力を一様に保っている可能性を示唆する現象である.申請者は数年来この輪の開きが平滑筋の収縮・弛緩に影響を受けることを明かにしてきた.本研究では平滑筋収縮の血管壁内ひずみ・応力分布に対する影響を軸方向の変形を考慮して探っている.本年度は動脈の型の違いの影響を知るため,日本白色家兎より弾性動脈として総頚動脈,筋性動脈として大腿動脈を摘出し,これら試料の平滑筋収縮に伴う3次元形状の変化を調べた.摘出血管より円周方向および軸方向に夫々長軸を有する矩形試料を作製した.試料の長辺は円周方向試料の場合には円周長,軸方向試料の場合には総頸動脈は5mm,大腿動脈は3mmとし,短辺はともに1mmとした.平滑筋収縮にはノルエピネフリン(NE)を用い,濃度を10^<-9>Mから10^<-5>Mまで10倍ずつ上昇させた際の開き角(円弧両端と両端から円弧上で等距離にある点とのなす角)変化を計測した.円周方向試料の開き角は総頸・大腿動脈ともに最初約250°であった.NE濃度上昇に伴う変化は,総頸動脈の場合10^<-8>Mまで見られず,その後10^<-6>Mまで直線的に減少し150°程度となり,その後は変わらなかった.大腿動脈の場合には10^<-9>Mより開き角が直線的に減少し10^<-7>Mで150°になった後,安定した.弾性動脈に比べて筋性動脈には平滑筋の相対量が豊富だと言われる.大腿動脈が低濃度のNEに敏感に反応したのはこのような平滑筋量の差が原因かもしれない.一方,軸方向試料の場合,初期値は総頸動脈で約240°,大腿動脈では190°であり,NE濃度上昇に伴う変化は殆ど見られなかった.組織像を調べるとこれらの動脈には軸方向に走行する平滑筋が見られず,このことが軸方向への変形が見られなかった原因かもしれない.
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