新しいB-C-N系化合物の探索と工具への応用に関する研究
Project/Area Number |
09750110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Materials/Mechanics of materials
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 克彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80262856)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | BCN系材料 / イオン注入 / 高圧力合成 / 薄膜コーティング / 摩擦摩耗試験 / 微小押し込み試験 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続き高圧力合成法と同様の熱力学的非平衡状態を実現することができる,スタティックイオンミキシング法によるB-C-N結晶の合成を試みた。実験は単結晶シリコン基板にBとCを交互に蒸着して多層膜を形成し,その後に加速した窒素イオンを注入してB-C-N化合物の合成を試みた。実験条件としてB/C膜圧を2.5および5nmとして全体で120nmになるまで成膜し,得られた膜の結晶構造を調べるためにX線回折による構造解析を行ったほか,元素の組成分布を調べるためにAES法による測定を行い,元素の結合状態を評価するためにFTIRで評価を行った。また,皮膜の機械的性質を調べるために微少押し込み試験によるビッカース硬さの評価および,ピンオンディスク法による摩擦係数の測定と耐摩耗性の評価を行った。そして,この多層膜に窒素イオン注入を行った。実験条件は加速電圧40KV,基板温度は室温,窒素の注入時間を30および240分間として窒素注入量を変化させ,得られた膜について先程と同様の一連の測定を行った。実験結の結果,B/C多層膜はAES測定によりB/Cが交互に積み重なっているものの,X線回折では明確なピークが存在せず,アモルファス構造であることがわかった。またFTIRの結果からB-Cの結合が存在していることがわかった。さらに硬度はバルク体と比較して2倍程度高いことがわかった。一方窒素を注入した試料では,30分の注入でもB/Cの多層構造が破壊され,膜の全域にわたってNが注入されていることがわかった。ただし,240分の照射の場合はB/C多層膜が消失した。これは飽和した窒素ガスが膜中にボイドを形成してB/C膜が剥離したためだと考えられる。また窒素注入を施した膜の結晶構造はh-BNが生成していることがわかった。このため,膜の硬度は窒素注入前を下回る結果となり,当初の目的であったB-C-N結晶を得ることができなかった。今後は基板温度制御や低エネルギーでの窒素注入により膜を破壊することなく効果的に窒素原子を膜中に注入する条件の探索を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)