Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では,次世代生産システムを指向する工作機械への搭載が有効であると考えられる「二層主軸構造」を対象として,本構造の特徴的な熱的挙動を解明するとともに,その熱的挙動を考慮した熱変形抑制方法を提示することを目的としている.本年度は最終年度であることから,熱変形抑制のための具体的な冷却システムを構築し,その効果を実験的に検討した. 本研究により得られた新たな知見は以下の通りである. 1. 二層主軸構造のモデル実験により,当該構造における特徴的な温度挙動として,内主軸が回転している条件で外主軸の回転数を増加した際に,ある回転数で内主軸の温度が極小となることを明らかにした. 2. 二層主軸構造における特徴的な変位挙動として,内主軸の軸方向変位が,内側軸受を介して内主軸を支持するクイルの軸方向変位挙動により抑制されることを指摘した.具体的には,外主軸後端の軸方向変位が顕著な場合に,外主軸とボルト締結されたクイルを介して幾何学的拘束が生じ,内主軸前端の軸方向変位を抑制することを明らかにした. 3. これまでに明らかにした熱的挙動に基づき,二層主軸構造における効果的な熱変形抑制方法について,「外主軸を回転させることにより内側軸受での発熱を外側軸受側へ等価的に移動させたうえで,外側軸受を冷却する」との方針を立て,外側軸受を支持する軸受ハウジングに対して温度制御されたシリコンオイルを循環させるジャケット冷却システムを構築し,その冷却効果を検討した.実験結果からは,内主軸を格納した場合には内主軸の温度上昇が抑制されるものの,内主軸を繰り出した場合には逆に温度・変位とも増加することが明らかになった.この原因として,二層主軸構造特有と考えられる各構成要素の変位挙動の影響を指摘し,内主軸の熱変位を抑制するためには,軸受予圧を大きく変えない範囲でクイル側からの拘束力を利用する方法が有効であることを明らかにした.
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