Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
まず,カオスの制御に関して次の成果を得た。装置挙動の時系列から単純なリターンマップが得られないと,カオスの安定化制御法であるOGY法に必要な不動点の情報を得るための精密な非線形モデリングが必要となるが,この繁雑さを回避するために,複雑なリターンマップに単純なリターンマップが埋め込まれている性質を利用して,リターンマップを単純化し,これに基づくカオスの安定化制御に成功した。これを踏まえて,単純なリターンマップが複雑なリターンマップにどのように埋め込まれているかを,統計物理学を用いて解析し,単純から複雑へのモード推移の徴候が,動的構造関数と呼ばれる指標のピークとして抽出可能であることを明かにした。この結果を利用して,カオス振動のモード推移を予測するための手法を提案し,その有効性を実験的に示した。 さらに,カオスのモデリングに関して次の成果を得た。決定論カオスの知見に基づく制御法を現実の装置挙動に適用しようとした場合,装置挙動から測定される各種指標がこのような制御法の要求を満さない場合が多いという予備実験の結果を踏まえて,装置の力学構造を確率的なモデルにより表現すべきであることを論じた。局所的拡大率と呼ばれる確率変数の平均値として得られるリアブノフ指数の確率密度関数や,フラクタル次元などのスケーリング指標を用いて,決定論モデルのカオス,確率論モデルのカオス,実験装置(人為的ノイズ源なし)のカオスの3者を比較検討し,実験装置のカオスの性質を忠実に再現するのは,決定論モデルではなく確率論モデルであることを,理論,実験の両側面から示した。 以上の研究成果を,全5報の雑誌論文として発表した。
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