Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
漏洩弾性表面波は位相速度が速い,電気機械結合係数が大きいなどの特徴を持ち,弾性表面波デバイスの高周波化,広帯域化への利用が注目されている.しかし,漏洩弾性表面波はバルク波を基板内部に放射しながら伝搬するために本質的に伝搬減衰を有している.さらに,励振用電極からのバルク波放射による損失も有している. 本科研費補助金による昨年度の研究では,基板表面上にプロトン交換層を形成することによって,これらのバルク波放射による損失を格段に抑圧できることを理論的,実験的に示した. 本年度は,基板上に誘電体薄膜を形成してもバルク波放射を抑圧できることを明らかにした.具体的な成果を以下に示す. 1. 伝搬減衰の抑圧:五酸化タンタル薄膜,または石英薄膜をニオブ酸リチウム基板上に形成することにより,伝搬減衰が約1/4となり,レイリー波と同等の約0.01dB/波長まで低減することを見出した.これは薄膜の形成により基板の異方性が実効的に変化した結果によるものであること,ある基板の方位角では伝搬減衰がゼロとなることを理論的に明らかにした. 2. 励振用電極から放射されるバルク波の抑圧:励振用電極からのバルク波放射損失が,薄膜の厚みに対して単調に減少し,ゼロにまで抑圧されることを見出した.未処理の試料の場合,このバルク波放射損失は挿入損失の約半分を占めており,フィルタの低損失化に非常に有効である.この抑圧は,表面波速度の遅い薄膜を形成することにより粒子変位分布が基板表面に集中した結果によるものであることを理論的に明らかにした. さらに,プロトン交換交換基板上の自由表面のレイリー波速度が短絡表面の速度よりも遅くなるという興味ある現象を初めて見出した.今後は,これらの成果を踏まえて次世代通信デバイス用低損失フィルタを検討したい.
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