Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究でぱ,large deviation理論を用いて情報通信システムの微小なセル損失率を評価するための基本的な枠組みを整えることを目的としている.単一モデルからの退去過程を主に分析した1年目の結果を受け,2年目の今年度はネットワークモデルへの拡張を中心に解析を行った. 解析では,まず2ノードのマルコフ型ネットワークモデルを考え,定常状態におけるセル長分布の裾の減衰率に対する上界を与える方程式系を導出した.このモデルは,セルのルーティングにループを許す点で既存の研究に比べてより現実的なモデルであるが,到着過程と退去過程に相関が生じるため解析は難しい.本研究では,large deviation理論と行列解析法を組合わせることにより2つのノードの減衰率の上界を交互に更新する漸化式を求め,それをもとに上界を定めた.得られた上界は,減衰率が既知のモデル(ジャクソン型ネットワークや直列型の一部)に対して真の値と一致するだけでなく,その他の主要なモデルに対しても数値計算によって得られた減衰率と一致しており,正確な減衰率となっていることが期待される. 次に,この結果を援用して,(1)打切り処理に減衰率の情報を利用することによる2ノードモデルの数値計算法の高速化・高精度化,(2)安定なマルコフ型ネットワークにおいてセル長分布が幾何的に減衰するための十分条件の導出,(3)インツリー型のネットワークにおけるセルの総送信時間分布と各ノードでの遅延時間分布の減衰率の関係の導出,を行った.これらはいずれも2ノードモデルの解析結果を一般のモデルへ拡張するための橋渡しとなる結果であり,(1)〜(3)の結果によって一般のネットワークモデル解析のための枠組みがほぼ整ったと考えることができる.
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