Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
網膜神経回路で実現されている視覚情報処理の具体的メカニズムを明らかにするためには,実際の網膜の構造や網膜内各神経細胞の神経生理学的な特性に基づき再構成した大規模網膜モデルを用いたシミュレーション解析が有効な手法である. しかしながら,大規模網膜モデルを従来の計算機環境へインプリメントし,シミュレーションを行うことは,CPU能力やメモリ容量など,計算機資源の制限により困難であった.一方,最近,ネットワーク技術の発達に伴い,メッセージパッシングライブラリを利用した計算機クラスタシステムが注目されている.そこで,本研究では網膜モデルのもつ並列性に着目し,代表的かつ汎用的なメッセージパッシングライブラリであるPVM(Parallel Virtual Machine),MPI(Message Passing Interface)を利用した網膜神経回路モデルの超並列シミュレーション環境を開発し,その技術に基づいた網膜の時空間特性の解析を行った. 構築したシミュレーション環境を評価するため,並列計算機と計算機クラスタにおいて,PVMおよびMPI利用時の実シミュレーション時間を測定した結果,網膜モデルサイズに応じた最適プロセッサ数が存在することが判明した.そこで,計算時間,最適プロセッサ数の最適計算機資源を予測する推定式を導出した. 開発したシミュレーション環境を利用することによって,従来の計算機環境の下では不可能であった自然画像や動画像等の複雑な刺激に対する網膜の情報処理機構の解析が可能になった.さらに,心臓治療薬の網膜への副作用の具体的作用やその視覚機能に及ぼす影響を可視化することも可能になった.
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