Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究の最終目的は,時間的および空間的に局在した波動である電磁パルス波の散乱現象を利用し,物体の媒質定数,形状,寸法などを精度良く推定する手法を開発することである.平成9年度においては,層状媒質の媒質定数分布を推定する手法を構築し,一定の成果を得た.平成10年度の研究実施計画は次のとおりであった. 1. 均質媒質中に存在する2次元物体の内部構造を推定するアルゴリズムの構築 2. 同アルゴリズムの有効性の検証および本研究の総括 このうち計画1については,工業製品の非破壊検査を想定して,真空中に存在する誘電体角柱に電磁パルス波を入射させ,そのときの散乱応答(時系列データ)を利用して角柱内部の誘電率分布を反復的に推定するアルゴリズムを構築した.具体的には,角柱内部は区分的に均質な小領域に分割できるとする仮定のもと,真の誘電率分布に対して得られる散乱応答と推定した誘電率分布から得られる散乱応答についての誤差汎関数を定義し,これを適切な降下法を用いて最小化することで各小領域の誘電率を求める手法である. また計画2については,計算手法として時間領域差分(FDTD)法を用い,種々の角柱モデルに対して計算機シミュレーションを実行した結果,本手法が安定した有効な推定法であることが示された.なお,この成果については,いくつかの国際会議および専門研究会において既に公表済みである. 以上のように,2年間の研究目標はほぼ達成された.現在,損失性2次元物体の媒質定数分布を推定する問題について解析を行っており,成果が得られ次第,国際会議等で順次公表する予定である.なお,本手法の問題点として,媒質定数を推定する小領域の数が多くなると計算時間が急激に増加することが示されている.今後は,非反復解法と組み合わせるなどして,計算時間を短縮することも重要な課題の一つである.
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