Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
平成9年度に引き続き,森林の水環境保全機能に関する基礎的知見を収集するとともに,森林域での流出現象における流量・水質時系列の確率的変動特性を森林内環境諸量の関数として評価する手法を確立するために,人為的影響の無視できる流域最上流森林域(岐阜大学流域環境研究センター高山試験地周辺の木曽川水系飛騨川最上流青屋川流域:流域面積約4,500ha)を対象とした水文・水質・気象に関する総合的現地観測を実施した結果,次のような研究成果を得ることができた. ・森林流域内での全窒素収支過程を時間発展型の微分方程式として定式化し,1996年の連続4日間と1997年の連続6日間の集中観測データおよび1997年の連続1ヶ月半と1998年の連続4ケ月間の連続観測データを用いてこの全窒素収支モデルを検証することができた. ・渓流水質,土壌水分,気象諸量に関する4ヶ月間の連続観測および数値シミュレーションより,渓流水質の時間変化は,入力要因としての降雨水質よりもむしろ,土壌内の水分保持時間に大きく支配され,森林内の植生・土壌分布に依存する確率的構造によって説明されることを明らかにした. ・植生分布などの土地被覆分布の考え方を長良川流域などの広い流域にも適用し,森林域での水質形成過程が流域全体に大きな影響を及ぼすことを明らかにした. ・植生による光合成作用や土壌表面からの蒸散作用と土壌水分状態との関係を媒介として,森林内での土壌水分状態および物質収支に対して森林内光環境を適正に評価することの重要性を指摘することができた.
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