Project/Area Number |
09750638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil and environmental engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90178145)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 鉛同位体比 / 鉛 / 土壌 / フミン酸 / 岡山県上斎原村 / 朝代火山灰 / 同位体比 |
Research Abstract |
今年度は、主要工業地帯より約100km離れた岡山県上斎原村において、人間活動により放出された鉛の遠隔地における降下・分布状況、ならびにそれらの鉛の土壌有機物との結合状況について調査した。さらに、約100万年前に堆積した、大阪層群下部の朝代火山灰層(大阪府泉南郡)についても調査を行い、人間活動による鉛の放出などがほとんどない時代の鉛濃度および鉛の同位体比の分布状況を検討した。なお、前年度は、工業地帯より20-40km程度の距離の田園地帯(茨城県那珂郡那珂町および大阪府泉南郡熊取町)において、同様な調査を行ったが、今年度の調査により、より人為的な汚染の影響が少ないと考えられる条件下での、鉛の動態が明らかにされた。 岡山県上斎原村においては、前年度の調査地点に比べて、人間活動に起因すると考えられる鉛の沈着は、少なかった。同村の2地点(天王、中津河)で鉛直方向に約1-2mの縦孔を掘り、層位別に土壌を採取・分析した。同村の中津河の土壌においては、土壌表面での鉛濃度は土壌深層における鉛濃度より高かった。しかし、鉛同位体比の分布傾向からは、これは土壌断面において、鉛濃度の異なる火山灰が、堆積した結果で、人間活動により放出された鉛が沈着した結果ではないと考えられた。一方、同村の天王においては、わずかではあるが、人間活動に起因するらしい鉛の沈着の傾向が認められた。 さらに、朝代火山灰層においては、鉛の濃度には、深さ方向で差がなく、人為的な汚染源がなければ、鉛の蓄積はおこりにくいことを示している。ただし鉛同位体比の分布には、ある深さを境にして、違いが認められ、鉛濃度は同一であるものの、異なる履歴を経て堆積した複数の火山灰からなる層であるためと、考えられた。 有機物と鉛の相互作用については、前年度の調査では、鉛はフミン酸等の土壌有機物と結合はするものの、その結合は、可逆的であると考えられたが、今年度の調査地点においては、鉛は土壌フミン酸と非可逆性の高い結合をしていることが見いだされた。これは、フミン酸の性質が土壌により異なるためと考えられた。
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