Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
近年の住宅は暖冷房負荷の低減を目的として断熱気密化される傾向にあり,季間蒸暑地域でも寒地型の断熱機密住宅(外装材裏面に通気層,内装材裏面に防湿シートを施工)が建設されつつある。しかし,これらの住宅では通気層からの湿気の流入により蒸暑季間に壁体内部が高湿化することや,内装材裏面の防湿シートが冷房時の内部結露を助長することなど,夏季の湿害が危惧される。そこで,本研究では断熱気密化された壁体の熱・湿気・空気の複合移動現象を明らかにするとともに,試験家屋を使用した屋外比較実験および数値シミュレーションによる各種壁体の温湿度変動解析により,蒸暑季間の湿害防止にも適した壁体構成の指針を提案した。その結果,1.水分ポテンシャルを湿流の駆動力として用いた熱・水分複合移動解析モデルは壁体の温湿度変動を精度良く表現できる,2.通気層は内部湿度の低下に通年に亘り効果あるものの,通気層から壁体内部への湿気の流入(雨天日など)と蒸し返しのため夏季昼間の高湿化は防止できない,3.内装材裏面を防湿した壁体は防湿部分に湿気が停滞するため夏季湿害が発生しやすい,4.内装材側が透湿する(内装材裏面を防湿しない)壁体は内装下地材の吸湿と壁体内部から室内への透湿により夏季湿害が防止される,5.壁体内部(室内側から40〜80mmの間)に防湿材を設置すれば蒸し返しによる湿気拡散が抑制され内装材裏面を防湿した壁体でも夏季湿害を防止できる,6.夏季の壁体内部湿度は外気の水分ポテンシャルが高い地域でより高くなり,水分ポテンシャルの季間平均値が125kJ/kg以上の地域では湿害の危険性が高い,7.冬季の内部結露は省エネ区分のVI地域を除くほとんどの地域で発生する可能性がある,8.冬季の内部結露は内装材裏面を防湿しなくても外装材裏面に通気層を設け内装材の透湿抵抗を調整することで防止できる,ことなどを明らかにした。
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