Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本年度は,昨年度作成したレーザー熱天秤装置に若干の改造を加え,1%以下の酸素分圧下におけるニッケルの溶融塩腐食挙動を調査した。 1. 装置の改良 石英スプリング部分の温度を,温度調整器により30℃±1℃に制御することにより,試料の質量変化測定精度を約±1mgから約±0.3mgへ改善することができた。特に,実験室温の日較差による測定値のドリフトが大幅に改善できた。 2. 実験結果 1%HCl-x%O_2-(99-x)%N_2雰囲気(x=0,0.1,0.5,1.0)における質量変化量を,x%O_2-(100-x)%N_2雰囲気(x=0,0.1,0.5,1.0)での結果と比較しながら調査した。HClを含む雰囲気では,雰囲気中のCl_2ガスおよび付着塩の効果によって大きな質量増加が見られるが,x>1.0の範囲では質量増加量の酸素分圧依存性はあまり見られなかった。ところが,x<1.0の範囲では,質量増加量は酸素分圧の低下とともに対数的に減少した。また,HClを含まない雰囲気においては,雰囲気中にCl_2ガスが存在しないため,HClを含む雰囲気に比べて質量増加量は小さいが,上述とほぼ同様の酸素分圧依存性を示した。 3. まとめ 得られた実験結果より,ニッケルの溶融塩腐食は,雰囲気にHClが含まれることによって加速的に進行するようになり,そのメカニズムには,雰囲気中の酸素の果たす役割が重要であることが明らかとなった。すなわち,酸素分圧の違いによって溶融塩中の酸素ポテンシャルが変化し,酸化物イオン濃度が変化するため,本実験のような結果が得られたと考えた。
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